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Heidelbergで綴るgerman life


by d_ambrosia
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Koeln & Aachen

ケルンへ。
AFPのブログにも書いたが、今週末から来週の火曜までがカーニバルのクライマックス。
ドイツのカーニバルといえばケルン、ケルンといえばカーニバルだ。
月曜日はバラの月曜日と称して、盛大なパレードが行われる。
当日は仕事でこられないので、カーニバル中の週末の様子を見てみることに。

Koeln & Aachen_a0065226_17305543.jpgもちろん世界遺産の大聖堂も忘れてはいけない。
ケルン駅を出た目の前に、堂々たるゴシック様式の壮大な姿が現れる。
圧倒的な迫力に違和感を覚えるほどの存在感。
すべての尖塔が天に向かって一直線に伸び、ゴゴゴゴゴッと音をたてて駆け上がっていくような感覚に襲われる。
外観をひととおり見てまわり、いざ中へと思ったら、入口でおじさんとおばさんがもめている。
扉が開かないらしい。
全部の扉を試してみても成果なし。
時間的な問題だろうと思い、先に私にとってのもうひとつのメインイベント、Wallraf-Richartz Museum ヴァルラーフ・リヒャルツ美術館へ。
コレクションは中世から近世にかけての絵画が中心と、まさしく私好み。
美術館まで旧市街を抜けていく。
街中には仮装した人があふれており、道端でもいたるところで仮装グッズが売られている。
目的の博物館には開館時間の11時ちょうどに着いた。
と、ここでもおばさん2人がもめている。
11時なのに開かないうえ、中に人の気配がまったくない。
3人で「どうしたんでしょうねぇ・・・」と首をかしげていると、通りがかりのおじさんが「カーニバル中はどこもやってないよ」と教えてくれた。
ど・こ・も・・・。
なるほど、大聖堂も同じ理由か。
失敗した・・・。
そういえば、街中もショーウィンドーやらトイレやらが、やたらと板で覆われていた。
カーニバル中に勢い余って壊されたりしないようにだろう。

ここで私のケルンでの目的の3分の2が消滅。
が、気を取り直し、残り3分の1を果たすべく行動を開始した。
まずはケルンのビール「ケルシュ」を飲みに。
旧市街の裏道にある店「SION」。
外はひっそりとしていたのに、戸を開けた瞬間、異次元に放りこまれたような錯覚に陥った。
店内はいかにもなカーニバルのデコレーション(手作り感あふれる花や紙飾りやケルンの旗などなど)がほどこされ、これまたいかにもな音楽がかかる中、店員はもちろん、客のほとんどが仮装している。
彼らはみな、もちろんケルシュビール片手に、音楽に合わせて声高らかに歌い、踊っていた。
私もケルシュビールと、メニュー内のケルンの郷土料理とかかれたところから1品選んでオーダー。
ケルシュは、フルーティーでさわやかな上面発酵のビール。
ドイツらしくない細い筒状のグラスで飲む(カクテルのコリンズグラスのようなグラス)。
Koeln & Aachen_a0065226_17313085.jpg料理はマッシュドポテトに煮リンゴを混ぜた甘いクリーミーなつけ合わせ目当てに注文したので、メインは定かではないが、多分レバーだと思われる。
レバーをマッシュしてニンニクなどとあわせて扇形に成型し、表面が硬くパリッとなるまで焼いてある。
ナイフを入れると、中からたっぷりの肉汁があふれでる。
この表面のパリッと感はクレーム・ド・ブリュレにナイフを入れた時の感覚に近いな。

Koeln & Aachen_a0065226_17314976.jpgKoeln & Aachen_a0065226_1732513.jpg
食後はブラブラ街歩き。
途中、楽隊のパレードにも出くわした。
こういうオフィシャルな人たちだけでなく、みな、普通に仮装で街を歩いている。
ショーウィンドーの中のマネキンに負けず劣らずの仮装をした人も多い。
仮装にはいくつかパターンがある。
まず大きく「カジュアル派」と「本気派」に分かれる。
カジュアル派は青や赤のカツラ(カジュアル派も本気派も、アフロヘアーをつけた人が多い)をつけたり、首からレイ(花輪)をさげたり、頭に風車をつけたり(70歳くらいのご婦人の頭上でクルクルと回っていた)、変な帽子をかぶったりと、「ちょっとつけてみました」という人たち。

Koeln & Aachen_a0065226_1732244.jpgそんなカジュアル派よりも数で上回る「本気派」は、さらに「着ぐるみ系」「体育会系」「ビジュアル系」に分かれる。
着ぐるみで見かけたのはキリン、クマ、恐竜、トラなど。
写真は「バス停」の着ぐるみ。

Koeln & Aachen_a0065226_17324213.jpg体育会系は、大勢が1つのテーマに沿った仮装をし、楽器をたずさえて練り歩いたり、自分たちだけでもパレードしたり、Barで歌って踊ってたりする人たち。
写真は駅構内をドラムなど打楽器を演奏しながらパレードしてた人たち。
このあと駅の広場は彼らのミニライブ状態になり、電車に乗りたい人たちは人ごみをかきわけるのに必死だった。
ビジュアル系は個人的に思い思いの仮装をしている人たち。
このカテゴリー名が浮かんだのは、原宿~代々木公園あたりでよく見かける子たちと同じようなメイク、いでだちの人をよく見かけたため。
多かったのはピエロ、魔女、スコットランドの伝統衣装、動物、ネイティブ・アメリカン、修道士など。
みな、気合の入ったメイクで臨んでいる。
しかもその状態で電車でやってくるのだ。(帰りのICEを待っていたら、中から牛やら魔女やらがごっそり出てきた。わざわざICEを使って、どこからやってきたんだろう・・・)
中には電車でメイクに励んでいる人もいた。
そうそう、街にはおまわりさんもあふれている。
しかもドイツのおまわりさんは、日本のように大きな車で集団でやってくるのではなく、普通に電車で来る。
駅で電車を待っていると、戸が開いた瞬間、仮装集団がごっそり降りて来る中におまわりさんが何人かいて、そんな仮装もありなんだ・・・と思っていたら本物だった。

Koeln & Aachen_a0065226_1733274.jpgそんなマンウォッチングをしながら「4711Echt Koelnisch Wasser Souvenirshop」へ。
ケルンはオー・デ・コロン発祥の街。
オー・デ・コロンはフランス語で「ケルンの水」という意味。
1792年にイタリア人薬剤師・ファリーナさんが発売を始め、2年後に、ナポレオン統治の下で店の住所が4711番地と割りふられると、ファリーナさんはその番地を商品名にした売り出したとか。
記念に1つ購入。

ここまで終えて12時30分。
さて、あと何しよう・・・。
せっかくドイツを北上してケルンまでやってきたので、ちゃんと観光したいよなぁ・・・。
ということで、西へ電車で1時間のAachen アーヘンへ。
アーヘンの大聖堂も1978年に世界遺産に登録されている。
これはドイツの世界遺産第1号。
また当地はベルギー、オランダの国境までわずか3kmというドイツの西のはずれに位置しており、ドイツ最西端の世界遺産でもある。
800年ごろにカール大帝の命により、東ローマ帝国のバジリカを模した八角形のドーム型身廊部分が建てられるなど基礎的な部分が造られた。
アルプス以北で、この様式で建てられた最初の教会といわれる。
その後、14~15世紀にゴシック様式のchoir(内陣にある聖歌隊席)などが増築されたほか、1663~1664年に身廊の屋根が新しく張り替えられ、1884年に塔が完成するなど、増改築が繰り返されている。
936年のオットー1世から1531年のフェルディナント1世まで、600年にわたって30人の王と12人の女王が戴冠式を行った場所である。
また中世以来、エルサレム、ローマ、サンチャゴ・デ・コンポステラと同様、キリスト教徒の聖地巡礼地として重要な地ともなっている。
アーヘン大聖堂では7年ごとに聖地巡礼が行われており、次回は来年・2007年だそうだ。

Koeln & Aachen_a0065226_1733478.jpgKoeln & Aachen_a0065226_1734226.jpg
教会に1歩足を踏み入れて唖然。
何だここは・・・。
20歳でイギリスに初の海外旅行に出てから10年、世界各国の教会・寺院・神殿を見てきたが、このアーヘン大聖堂ほど心をわしづかみにされたところは今までにない。
小ぢんまりとした造りなのだが、重厚な存在感と厳粛な雰囲気を漂わせている。
そもそも、聖堂の造りそのものが、これまで見てきた教会と違っていた。
たいていの教会は、入口を入ると天井が高く、両脇にステンドグラスなどが配された身廊が聖壇へ向かってのびている。
が、ここはその身廊が八角形をしたドーム型になっているのだ。
そして側面はアーチ型に覆われており、ドームの中にいると、水平方向の視界が遮られる分、意識は垂直方向へと集中し、ドームの上へ上へと吸い込まれるような感覚に襲われる。
Koeln & Aachen_a0065226_17341956.jpgアーチ型の壁の向こうにある聖壇はこれまた高さが強調され、ステンドグラスからこぼれるまばゆい光が、天井から下げられた「Strahlenkranzmadonna」(“光り輝く聖母”といった意)を四方八方から照らし出している。
ひたすら感動。
今回は時間がなかったので宝物館に足を運ぶことができなかった。
残念。
もうひとつ残念なのは、この大聖堂の周辺は建物が密集してしまっており、その全体を眺めることが難しいこと。
絵葉書で昔の姿(全体像がわかる状態)を描いたdrawingを見つけたので購入しておいた。

ケルンでカーニバルに圧倒されてしまったものの(見たいものが見られなかったという意味も含めて)、行きたいと思いつつ、物理的にあきらめていたアーヘンに足を延ばすことができ、結果的には大満足の1日だった。
疲れたけど・・・。

Koeln & Aachen_a0065226_17345442.jpgKoeln & Aachen_a0065226_1735847.jpg
こちらは、今日観た仮装の中での私のお気に入り。
スーツに革靴、ドイツカラー(赤黄黒)のアフロにサングラス、そして手にはホットドッグ。
カジュアル派だが、いい味出してる。
ちなみにケルンから自宅最寄り駅まで戻り、電車から降りようとしたら、そこにも仮装した人たちがいた。
ハイデルベルクあたりでパーティーでもあるんだろう。
大きい都市はもちろん、小さな町でもカーニバルを楽しむ。
日本でいう夏祭りの感覚なのかもしれない。
by d_ambrosia | 2006-02-25 23:25 | travel